海龍王寺について

仏像 Statue of Buddha

本尊

十一面観音菩薩立像

  • 重要文化財
  • 鎌倉時代
  • 94.0㎝

当寺の本尊で、光明皇后が自ら刻まれた十一面観音像をもとに、鎌倉時代に慶派の仏師により造立されました。
檜材で金泥が施され、条帛・天衣を掛け、裳・腰布をつけており、頭に天冠台・冠帯・左右垂飾、身は頸飾り・垂飾・瓔珞、手には臂釧・腕釧をつけています。

衣の部分の彩色は朱・丹・緑青・群青など諸色の地に唐草・格子に十字などの諸文様を切金で表したもので、縁取りや区画の境界線に二重の切金線が多用されています。
頭飾および装身具は精緻を極め、すべて銅製鍍金で透彫りを多用し、垂飾には諸色のガラス小玉と瓔珞片を綴ったものを用いています。

像は精巧入念な作で、頭・体のプロポーション、頭部の自然な俯きに優しい手の動き、腰のひねりに巧みに応ずる右足の遊ばせ方など彫刻としての基本的なデッサンは確かなものがあり、衣の文様表現では彩色より切金が主座を占め、頭飾装身具では、透彫りの技巧の細かな点に注目できます。

※海龍王寺の本尊である十一面観音菩薩立像は通常戸帳越しの公開で、毎年3月下旬~4月上旬、5月上旬、10月下旬~11月上旬の特別開帳等でのみ開帳されます。
詳しくは「お知らせ」をご覧ください。

文殊菩薩像

  • 重要文化財
  • 鎌倉時代

真言律宗の特徴である「文殊信仰」の流れの中で造立。小ぶりな頭部に合わせるように目鼻口も小さく作られており、おだやかな起伏をもつ姿が自然なプロポーションで表現されています。衣の袖口にわずかな風を孕む感じが巧みに捉えられていることなどから、全体の調和と微妙なニュアンスとを重視した13世紀中頃の作風をよく伝えています。

愛染明王像

  • 奈良市指定文化財
  • 室町時代

真言律宗の特徴である「愛染信仰」の流れの中で造立。台座受座の上面に帰された銘により覚清大法師を願主に、椿井丹波という奈良仏師により造立され、永享元年(1440年)6月1日に開眼供養されました。檜材の寄木造りで、見開いた三目には玉眼を嵌入、口を開けた忿怒形で六臂の様相をなしており、もととなる経典に書かれているとおりの忠実な作がなされています。

不動明王像

辮髪を左胸前に垂らし、両眼を見開き額に水波の相を作り、上歯をあらわします。条帛・裳・腰帯・腕釧・臂釧をつけており、左手は羂索、右手は剣を執っています。この形式の不動明王像は真言宗寺院の作例にのっとっており、弘法大師将来図像に基づき造立されたと考えられています。

毘沙門天像

  • 平安時代末期~鎌倉時代初期

守護神となる仏像を大きく造る例に合わせ、平城京の東北(鬼門)を護るために北方の守護神である大柄な毘沙門天が造立されました。肉身は肥満感を表しており、武具を身に着けていないことと、おだやかな表情とが相まって、やわらかな造りを感じることができます。